著者
Judice Charles N. 外村 佳伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.285-289, 1993-03-20

アメリカにおけるマルチメディア通信応用とその環境はようやく形をなし始めた段階であり, 成功例はまだない.マルチメディアプラットホームとしてはApple社やIBM社がしのぎを削っている.家電領域のCD-I, CDTVはあまり成功していない.むしろコダック社のフォトCDが消費者をマルチメディアに導くきっかけになろう.動画が入り始めたゲーム機器も無視できない.一方, マルチメディア応用を支えるネットワーキングとサービスの観点でみると, 一般に広帯域回線が必要と考えられがちだが, 必ずしもそうではない.ISDN等, 新しい環境への投資がにぶる景気沈滞期にあって, パソコン, モデム, CD-ROMと既存の電話回線を組合せたサービスの可能性を過小評価できない.例えば既存電話回線を用いたテレビ電話や, 下り1.5Mb/s, 上り9.6kb/sを通すサービスなどがある.エンドユーザ応用としては, 家庭向けにはやはりエンターテイメント分野への投資が期待でき, 昨今の各社間の提携もここをねらっている.一方, ビジネス分野におけるマルチメディアの重要性は過大評価されているきらいがある.むしろ近未来市場としては, この景気沈滞期にあっても投資が落ちていない教育と訓練の分野に大きな期待ができる.