著者
安野 正之 W. W. MACDONALD C. F. CURTIS K. K. GROVER P. K. RAJAGOPALAN L. S. SHARWA V. P. SHARMA D. SINGH K. R. P. SINGH H. V. AGARWAL S. J. KAZMI P. K. B. MENON R. MENON R. K. RAZDAN D. SAMUEL V. VAIDYANATHAN
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.325-343, 1978-12-15 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
7 21

雄のネッタイイエカがチオテパで処理され, 1日あたり15万匹から30万匹が5カ月半にわたってデリー近郊の村に放逐された。村の周囲3km幅の地域にあるネッタイイエカ幼虫の生息場所は殺虫剤で処理され, 実験期間中成虫の発生を抑えた。放逐蚊はすべて螢光色素でマークされた。マーク雄と非マーク雄の比はつねに24 : 1より大きかった。不妊雄の交尾競争力がわかっているので, 村内では不妊雄による交尾率が非常に高いことが期待された。野生の雌をつかまえてそれに産ませた卵をしらべた結果, 最初の3週間に野外集団に高いレベルの不妊性をもたらしたことが証明された。しかしその後は不妊性のレベルは低かった。3kmの幼虫生息場所皆無帯は, 周辺からのすでに受精した雌の侵入をはばむことができなかったことを示すいくつかの証拠がある。実験対象とした村の野生のネッタイイエカの密度と比較対照とした別の二つの村の密度を検討すると, 高い不妊性を示した期間は実験対象とした村のネッタイイエカ密度は一時的に減少したように思われる。