著者
嘉本 伊都子 KAMOTO Itsuko
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.23-50, 2011-12

旧姓長田信子さんは、アメリカ軍に徴兵され極東での勤務を志願した飯沼星光さんと渋谷の富ヶ谷教会で結婚式をあげ、1953年9月に軍用船で海を渡った。彼女自身は戦争花嫁だとは思っていない。なぜなら星光さんはアメリカで生まれた二世ではあるが、幼少期から青年期までを日本で過ごしたいわゆる帰米二世であるからだ。日本人という同人種ゆえに国際結婚とは位置づけていないのである。しかし、アメリカ国籍をもつ日系二世のG・Iと、日本人女性との結婚は、敗戦後の国際結婚の歴史なかでも重要な位置を占める。飯沼信子さんのケースを取り上げることによって、研究上、焦点が当てられてこなかった帰米二世との「国際結婚」について考察していく。