著者
SACHIYO NAGASO KOICHI YOSHIKAWA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
NIPPON SHOKUHIN KOGYO GAKKAISHI (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.196-201, 1978-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12

はたけしめじの液体振とう培養条件に関する基礎的な実験を行なった。すなわち,培地の初発pH,培養温度及び振とう条件を変化させて14日間培養し,増殖菌糸体の形状の観察,培地の最終pHの測定,増殖菌体量及び菌体中の粗蛋白質を定量し本菌糸体への影響について検討した。その結果,培地の初発pH及び培養温度の変化により,本菌糸体の生育量,増殖菌糸体の形状及び含有蛋白質量などにかなりの相違が認められた。増殖菌糸の形状は,pHの低い培地ほど小さなペレットを形成し,しかも,繊維状に発育しやすい傾向がみられた。培養温度25℃,培地の初発pH5.0の場合に最良の増殖を示した。培地液量と振とう数を変える事により,Kdの変化と本菌糸体の増殖状態を検討した結果は,生育量,増殖菌糸体の形状及び含有蛋白質量に若干の相違が認められた。増殖菌糸の形状はKdが大きいほどペレットが小さくなり,特に振とう数120回/分では繊維状に発育しやすい傾向を示した。振とう数100回/分の場合が最も増殖良好であった。含有蛋白質量は,20℃培養の場合が若干低い値を示したが,いずれも約30~40%の高率を示した。