著者
藤川 義雄 Yoshio Fujikawa 京都学園大学 KYOTOGAKUEN UNIVERSITY
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-57, 2005-07-20

1990年代,極度の不振に苦しんだ日産自動車が,カルロス・ゴーンの指導の下,劇的な復活を実現し,企業再生モデルとして注目されているのは周知の通りである。この再生に当たり,非常に重要な役割を果たしたのが日産リバイバルプランとして示された中期経営計画であった。この経営計画は,期限と数値目標がはっきりと示され,経営者にとっては投資家に対するコミットメントとなり,従業員にとっては一人一人が目指していくべき方向となり,投資家にとっては経営責任の遂行を評価する基準として機能した。その目標実現過程は,会計データから検証可能であるが,そこにはビッグ・バスと呼ばれる会計手法がとられていた。日産の復活の過程を損益計算書とキャッシュ・フロー計算書を対比していくことで,一般的な評価とはまた異なるV時回復の姿を見て取ることができる。
著者
足立 勝彦 Katsuhiko Adachi 京都学園大学 KYOTOGAKUEN UNIVERSITY
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-16, 2005-07-20

本稿は,ブランドの本質は記憶された資産であり,その資産力の源泉は,ブランドが根元的にもっているコアバリューにあるとしている。この2つの観点を踏まえ,ブランド価値が企業にとってどのような戦略的意義があるかを,企業マーケティングと経営・会計の2つの側面に焦点をあて,事例を提示しながら考証していく。その結果,ブランドは,企業戦略上「知的装置」としての戦略資産であることを提唱している。