著者
齊藤 茂 北村 勝朗 永山 貴洋 Shigeru Saito Katsuro Kitamura Takahiro Nagayama
雑誌
教育情報学研究 = Educational informatics research (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.45-53, 2007-07-01

スポーツ選手の練習の「質」を分けるものは何であろうか。本研究では,ユース年代のエキスパート・サッカー選手9名を対象として,彼らが熟達してきた過程において,どのような意識のもと,能動的に練習活動に取り組んできたのか,対象者が行ってきた練習の「質」の詳細を描写することを目的とした。本研究のデータ収集は,筆者と対象者による1対1の半構造的インタビューにより実施し,定性的データ分析法に基づき分析が進められた。結果として,対象者は,目標を高い基準に保持し,的確な現状把握することにより必要性を検知するといった「モニタリング」を積極的に行っていること,および練習環境の再考し,意味のある環境で練習をする中で練習環境を構築し続けていくこと,さらにはこうした要因が相互に作用して練習の「質」を高めているという対象者の意識の構造が明らかとなった。