著者
川島 亜紀子 カワシマ アキコ Kawashima Akiko
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.185-191, 2013-03

夫婦間葛藤に関する心理学的研究は、我が国においては比較的新しい領域であり、多くの研究は欧米における研究で使用される尺度を使用するか、あるいは、それらを基に、日本版を作成することが多かった。そのため、我が国独自の葛藤のあり方について測定しきれていないのではないかという懸念があった。そこで、本研究では、我が国における夫婦間葛藤方略の実態について検討するため、インターネット上のサービスである、"Yahoo!知恵袋"に寄せられた情報を使用し、我が国の夫婦間葛藤の実態や、葛藤方略の実態について検討することを目的とした。その結果、大きな枠組みとしては、欧米での先行研究との違いは見いだされなかったが、攻撃性の表出方法や、譲歩のあり方において違いがみられる可能性が示された。今後、これらの結果を基に尺度を構成し、本結果が我が国の実態を反映しているのかどうかを検討することが求められる。