- 著者
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川床 靖子
カワトコ ヤスコ
Kawatoko Yasuko
- 雑誌
- 大東文化大学紀要. 社会科学 (ISSN:09122338)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, pp.69-82, 2014-03-31
徳島県の中山間地、上勝町で葉っぱビジネスに従事する60歳代から90歳代の高齢女性の実践をエスノグラフィー(生き生きと詳細に描くという意味)し、「高齢者」あるいは「高齢女性」に関するカテゴリー化への反証事例を提示した。かつて、上勝の女性たちは「高齢者」あるいは「高齢女性」についてのカテゴリー化、例えば、"年寄りはPCやスマホに関心がない。触ろうともしない""年寄りは流行やお金儲けに疎い""年寄りが自分で生きがいを見いだすことはむずかしい"といった"存在のあり方"、つまり、"エージェンシー"をそのまま体現していたという。そのような女性たちが葉っぱビジネスへの参加を通して、情報技術との関係はもとより、当該文化における他のメンバーとの関係、自己の生き方への自信を再構築している。人、もの、装置のどのようなコンフィグレイションのもとで、彼女たちは変化したのか。そのいきさつを科学技術社会論的アプローチによって分析した。