著者
Kenneth Sassen
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.422-429, 1980 (Released:2007-10-19)
参考文献数
14
被引用文献数
64 69

大気中を自然落下している板状氷晶の落下姿勢と氷晶の大きさとの関係を知るため,氷晶によって生ずる光学現象である光柱(light pillars)の拡がり角および散乱光強度の分布を光柱写真の解析から求めた。その結果,レイノルズ数(Re)にして1.0<Re<100の範囲氷晶は,基底面(basal plane)を落下方向に対して垂直,すなわち水平方向に保つような落下姿勢が卓越し,特にRe=10前後ではこの姿勢が最も安定な落下姿勢であることが判った。落下中の板状結晶の基底面の水平方向からの傾き角は,大気中の乱れのため一般的には,水平方向を中心にガウス分布をしている。これら観測結果と,大気光学現象との関係や雲構成要素の性質のアクチブリモートセンシングについて議論を行った。