著者
杉浦 功一 Koichi SUGIURA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.65-76, 2023-03-01

現在、「民主主義の後退」が注目されているが、その考察に民主的正統性のインプット/スループット/アウトプットの側面に注目する枠組みを適用し、新たな知見を得ることを試みる。第1節では民主主義の後退の議論を整理・検証し、第2節ではV. A. シュミットの3つの民主的正統化のメカニズムの議論をまとめ、第3節ではその適用を試みる。結論として、民主主義の後退の議論で注目されてきたのは、民主的正統性のうちインプットの側面に関わるものであり、アウトプットやスループットの民主的正統性まで視野に入れると、権威主義化する政権がそれらによる「補完」によって支えられている可能性が見えてくる。