著者
松川 正樹 高橋 修 林 慶一 伊藤 慎 Konovalov V. P. Valentine
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.48, pp.29-42, 1997-06-30
被引用文献数
1

西南日本のジュラ紀から前期白亜紀付加体の重複配列分布は, 付加体の放散虫化石と付加体の堆積物に不整合で覆う非海成ないし浅海成の堆積物に含まれる軟体動物化石の化石層序と時代論に基づき, オーテリビアン期に形成されたと解釈される。一方, 日本を含む東アジアの浅海成堆積物から後期ジュラ紀〜前期白亜紀のアンモナイトが産出し, それらが低緯度地域と高緯度地域の種を含む。これは, この地域が二つの異なる海流の影響を受けたことを示し, 現在の下部白亜系の分布位置と堆積当時の分布位置がほぼ同じであったと解釈できる。特に, 前期白亜紀の手取地域は高緯度地域からの海流の影響を受けたことが示唆される。これらの解釈は, この時期のテクトニクスの考察による日本列島の位置の解釈と化石による解釈の両者がともに整合性のあることを示す。