著者
古怒田 望人 Konuta Aasahi コヌタ アサヒ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.40, pp.21-39, 2019-03-31

論文2003年に制定された「性同一性障害特例法」をめぐってこれまでさまざまな議論がなされてきた。議論の中心となっていたのは「性同一性障害特例法」が阻害するトランスジェンダー当事者の人権と社会的なありようの問題であった。対して本論では、強制的な身体変容や強制不妊を要求する「性同一性障害特例法」の「セクシュアリティ」に焦点をあてる。「セクシュアリティ」をめぐってなされてきた批判的議論を通して「性同一性障害特例法」がどのようなセクシュアリティを取り込み、また阻害しているのかを見てゆく、そして最後にこの法に抗するようなトランスジェンダーの「セクシュアリティ」のあり方について考えることを試みる。