著者
水野 邦夫 ミズノ クニオ Kunio MIDZUNO
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.14, pp.35-52, 2006

Lee(1977)は恋愛の色彩理論を提唱し, 松井ら(1990)はそれに基づいた恋愛傾向測定尺度の日本語版を作成しているが, 本研究では, より簡便で回答しやすい尺度の作成を試み, その妥当性および信頼性を検討するとともに, 他の特性などとの関連性や, 男女や恋人の有無によって, どのような恋愛傾向の違いがみられるかを調べることを目的とした。大学生および専門学校生466名(男子247名, 女子217名, 不明2名)を対象に, この尺度を含む質問紙調査を実施し, 分析を行ったところ, 尺度には充分な妥当性や信頼性は認められなかったが, さまざまな恋愛傾向を測定しうるものであることが確認された。また, ストルゲを除く尺度は協調的なパーソナリティ特性との問に有意な相関関係がみられた。さらに, 恋愛傾向の男女差や恋人の有無による差を調べたところ, 男子はアガペ(献身的な愛)やエロス(耽美的な愛)が高いのに対し, 女子はプラグマ(実利的な愛)が高く, また, 恋人がいる群はストルゲ(友愛的な愛)が低く, 恋人がいない群ではマニアとエロスが低く, 片想い群ではアガペが高いなどの結果が得られた。