- 著者
-
M. ROGIERS
北野 訓敏
- 出版者
- 日本養豚学会
- 雑誌
- 日本養豚研究会誌 (ISSN:03888460)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.2, pp.83-95, 1973-08-31 (Released:2011-06-08)
- 参考文献数
- 12
以上要約しますと, 豚は離乳から肥育豚舎に行くまで度々移動させられたり, 精神的に障害をうけるので, 相当な精神的なストレスを受けるため, Selye によって報告されている“適応症候群”にまで進行することが考えられます。このため異化作用は促進して胃腸障害を引き起すことになると思われます。消化管に関連した数多くの臨床的障害は離乳後に典型的に発生するものであり, その障害は下痢症, 出血性腸炎, 成長の停止, 飼料効率の低下であります。消化管にみられる病理解剖学的病変は, 離乳後と同様に実験的ストレスを与えた場合にも観察されました。離乳後の損失を出来るだけ少なくする方法としては, 広範囲に適用される抗生物質の多量に入った所謂“ストレス飼料”を投与することが必要であります。また, アザペロンの様な精神安定剤は良好な治療効果を示すことが出来ます。アザペロンは豚の精神的平衡を維持し, 発生が予測される胃腸障害を予防するものであり, その原因的治療剤としてすぐれた薬剤であると考えられます。