著者
M. ROGIERS 北野 訓敏
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚研究会誌 (ISSN:03888460)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.83-95, 1973-08-31 (Released:2011-06-08)
参考文献数
12

以上要約しますと, 豚は離乳から肥育豚舎に行くまで度々移動させられたり, 精神的に障害をうけるので, 相当な精神的なストレスを受けるため, Selye によって報告されている“適応症候群”にまで進行することが考えられます。このため異化作用は促進して胃腸障害を引き起すことになると思われます。消化管に関連した数多くの臨床的障害は離乳後に典型的に発生するものであり, その障害は下痢症, 出血性腸炎, 成長の停止, 飼料効率の低下であります。消化管にみられる病理解剖学的病変は, 離乳後と同様に実験的ストレスを与えた場合にも観察されました。離乳後の損失を出来るだけ少なくする方法としては, 広範囲に適用される抗生物質の多量に入った所謂“ストレス飼料”を投与することが必要であります。また, アザペロンの様な精神安定剤は良好な治療効果を示すことが出来ます。アザペロンは豚の精神的平衡を維持し, 発生が予測される胃腸障害を予防するものであり, その原因的治療剤としてすぐれた薬剤であると考えられます。
著者
大越 伸 北野 訓敏
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-PLATE II, 1966-02-25

昭和38年1月23日, 東京都下三鷹屠場において, ホルスタイン種, 3才牝牛の涙腺嚢から, T. rhodesi と異なる眼虫7隻を検出した. 可検虫体の各部計測値を測定した結果, 1928年ロシアの W. S. ERSCHOW によって報告された T. skrjabini の計測値とほぼ一致するのでこれを同種と同定した. わが国において牛の眼球から T. skrjabini が検出されたことは, まだ報告されていない. 次いで T. skrjabini の分布を知るため, 全国から牛が参集する芝浦屠場において, 17府県から集まった屠殺牛96頭の眼球を検査した結果, 2地区の牛(千葉県4頭, 茨城県1頭)から, 合計16隻の T. skrjabini を検出することができた. さらに昭和40年7月から10月にわたり, 東京都の八丈島と大島, 北海道の新冠種畜牧場, 茨城県の東京大学付属牧場における合計199頭の牛を, 生理食塩液加圧眼球洗浄によって検査した結果, 合計226隻の眼虫を得た. そのうち35隻(15.4%)が T. skrjabini であったので, 本虫はわが国においても広く分布していることが判明した.