著者
MIRHADI Mohamad Javad 小林 喜男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.115-124, 1981
被引用文献数
3

5月1日から7月1日まで,15日おきにグレインソルガム(H-726)を名大農学部附属農場の圃場で栽培し,週2回定期的にかん水する区と無かん水区を設け,生育収量やたんぱく含量を調査した. 1. いずれの播種期でもかん水区で,草丈,葉数,穂長,1穂粒数,茎葉や穀実のたんぱく含量が無かん水区より優れていて, この植物が乾燥に強いと考えられているにもかかわらず,栽培にあたってかんがいの必要性が高いと考えられた. 2. 6月1日および15日播きではかん水, 無かん水両区とも他の播種期の区に比べ,生育収量やたんぱく含量が全体的に低下していた. この減少は生育初期に降雨が多く日照が少なく, これに伴う気温の一時的な低下によるものと思われる. 3. 全植物中で茎葉や穂の占める乾物量の比率をみると,5月1日播きでは穂が最も高いが,5月15日播きでは葉の変化はなく,穂が減少して茎が高くなり, 6月1日播でほ茎も葉も増加した. さらに晩い播種期では葉の増加が最も高くなっている. これらから早期の播種では同化生産物の穂への転流が良好であり,晩期になるにつれて茎葉に残り,穂への転流が粒数の少ないこともあって減じ,穀実収量が減ずるといえる. 4. 全体的にかん水の有無で比較すれば,生育収量やたんぱく含量はどの播種期でも同様の傾向を示した. 穀実の粗たんぱく,粗でんぷんの比率に有意な差ほないが, 6月1日播きでは収量が低いので粗たんぱくは高い値を示し,その反面粗でんぷんの割合が減じている. 5.作期の早晩で比較すると,早播きがかん水の有無にかかわらず高収をもたらした. グレインソルガムの高収量を得るには栄養生長期は低温で長期間,登熟は高温で短期間経過するのが望ましいものと考えられる.