著者
三宮 真智子 Machiko SANNOMIYA
出版者
鳴門教育大学学校教育実践センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育実践センター紀要 (ISSN:13459414)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.151-161, 2005-02-08

国際化,情報化などの影響を受け,文脈依存性が高く言語的明示性の低い従来の日本固有のコミュニケーション・スタイルは,現在では通用しにくくなった。現在の日本において解決すべきコミュニケーションの問題は,自分の考えや気持ちをうまく伝えられないことである。そのために,(1)優れた意見であっても相手に伝わりにくく受け入れられなかったり,共同思考に貢献できなかったりする,(2)気持ちが十分に伝わらず,信頼感のある共感的な関係が築きにくい,といった結果を招いている。考えや気持ちを効果的に伝えるためには,コミュニケーションに関わる人間の認知や感情を対象化してとらえること,すなわちコミュニケーションに対するメタ認知が重要である。本稿では,メタ認知に基礎を置き,考え・気持ちを伝える情報表現力を育てるコミュニケーション教育の必要性とその理論的背景を述べ,コミュニケーション教育で扱うべき内容について提案した。