著者
山田 祐樹 Marmolejo-Ramos Fernando Roland Pfister Barrera-Causil Carlos
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2019 (Released:2019-10-28)

科学コミュニケーションにおける障害の一つが実験結果の理解の共有である。データを視覚化・抽象化するために様々なグラフが用いられるが,受け手にとっては難解であったり誤解が生じたりするため,適切な理解共有のためには適切なグラフ選択が必要であろう。そこで本研究では,グラフ化の仕方が受け手のデータ分布の理解に与える影響を検討した。日独豪3カ国の非専門家を対象としデータの正規性の判断を求めた。正規性は,公衆が普段接することの無い一方で,認知心理学にて頻繁に使用されるパラメトリック分析の根幹をなす。ここでは,同一のデータセットから作成された箱ひげ図,ヒストグラム,密度プロット,QQプロットの4種類のグラフを用いた。結果として,グラフの種類ならびに参加者の国籍や統計学習熟度によって正答率は大きく異なった。したがって,提示したい情報と受け手の属性に応じた柔軟なグラフ選択が科学コミュニケーションには重要である。