著者
嶋内 麻佐子 Masako SHIMAUCHI
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.131-141, 2001-03

利休歿後、利休の弟子七人衆の一人である古田織部により、その茶が継承された。織部は武将の茶としての展開を遂げ、茶室・茶の形態・露地・懐石・点前に至るまで、武家相応の茶の湯に置き換えることにより、利休の身分平等性を主とする作法やその技法、精神性からの脱皮を計ることに成功したと言える。 しかし、その事で草庵における茶の形態だけは、守られたと思われる。そのことは、町人的作法から生まれた利休の茶を改良し、かつての貴族時代に生まれた文化と、武家故実に基づく文化を合流させた慶長年間の武家相応の茶の湯が、織部によって出来上がったと言えるのではないだろうか。