著者
大津 雅之 Masayuki OTSU 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
no.16, pp.97-109, 2008-03
被引用文献数
1

本稿では、拡大する自己覚知の定義の整理を試みた。また、合わせて今日の教育機関が教授する自己覚知の内容の整理も試みた。研究方法は、拡大する自己覚知の定義の整理にあたり、26冊の辞典・辞書・用語集から、一つの「基準となる自己覚知の定義」を設定し、そのうえで整理を試みた。整理方法として、(1)「自己覚知」以外での表記方法、(2)福祉援助者以外が行う自己覚知への言及、(3)自己覚知の必要性(意義)、(4)自己覚知の方法論、(5)その他の重要な言及という五つのカテゴリーを作成し分類している。また、今日の教育機関が教授する自己覚知の整理にあたり、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の養成機関が使用する3冊の最新版養成テキストから、それぞれが述べる自己覚知を比較し、そのうえで整理を試みた。整理の方法として、拡大する自己覚知の定義の整理と同じ五つのカテゴリーを作成し分類している。考察では、専門性を越えて普遍的に心理学や精神医学へと傾倒してしまう自己覚知に対する今日的解釈へ問題提起している。さらに、社会科学的分野からどのように自己覚知を考える必要があるかを言及している。
著者
大津 雅之 Masayuki OTSU 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
no.19, pp.107-126, 2011-03

今日、福祉分野においては、「自己覚知」対するさまざまな解釈が拡散的に用いられているように見受けられる。その背景として、日本国内におけるケースワーク理論の歴史的変遷と「自己覚知」に対する解釈の歴史的変遷とを無視することはできないであろう。北本は、日本におけるケースワーク理論の歴史的変遷と「自己覚知」に対する解釈の歴史的変遷とを関連付けながら、「自己覚知」を分類している。ただし、北本の「自己覚知」に関する歴史分類は、「自己覚知」を理論的側面で整理するのみにとどまっていた。そこで、本稿では、まず、拡散する「自己覚知」に対する解釈を概観しながら、「自己覚知」の概念的性質について考察する。そのうえで、北本の「自己覚知」に対する歴史的分類に事例を交えながら、今日の「自己覚知」について考察してみたい。