著者
大橋 充典 野田 耕 行實 鉄平 奥野 真由 浦上 萌 Mitsunori Ohhashi Koh Noda Teppei Yukizane Mayu Okuno Moe Uragami
出版者
久留米大学人間健康学部
雑誌
久留米大学人間健康学部紀要 = Bulletin , Faculty of Human Health , Kurume University (ISSN:24350036)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.53-65, 2020-09-01

本稿の目的は,日本における高等教育の現状について,主に文部科学省の政策を中心に整理し,今後の高等教育のあり方について検討することであった。具体的には,高等教育における「マス化」および「ユニバーサル化」について,マーチン・トロウの高等教育論を参考として大学進学率の推移からこれまでの日本における高等教育がどのように変容してきたのかについて整理し,その上で,過去10年において設置が認められた新たな大学の特徴から日本における今後の高等教育政策について提言を行った。戦後の日本における高等教育の歴史は,1947年の学校教育法の成立による1949年の新制大学の発足が始まりとされる。その後,2010年代まで徐々に増加傾向をたどってきたが,2009年には進学率が50%を超えることになり,高等教育が「ユニバーサル化」する時期に差し掛かっている。2009年以降に新たに開設された大学における設置組織について概観してみると,特に看護や医療系の学部や学科,また理学療法や作業療法の専攻が半数程度を占めている。こうした状況を見ると,日本における高等教育は文部科学省主導で量的な拡大が行われてきたと言えるが,一方で,質の向上を含めた「計画的な整備」が進められてきたのかについては,今後も議論する余地が残されている。