著者
Monroy Carlota Rodas Antonieta Mejia Mildred 田原 雄一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.187-193, 1998
被引用文献数
2 13

チャガス病媒介者であるサシガメ(Triatomadimidiata & T. nitida)が生息する土壁の割れ目やすき間をセメントや石灰で埋めることで, 彼等の生息数を減らす事を試みた。双方(セメント及び石灰)の塗装を行った場合, 翌年は平均92%も生息数が減少した。石灰だけでは34%の減少に止まった。また, 部分的な改善(塗装)では53%の減少であった。他方, 何も施さない場合の生息数には変化がなかった。しかしながら, Tripanosoma cruziの保有率には変化がなかった。また, 研究室内の試験で壁材の塗装はサシガメの寿命に変化を及ぼさなかった。
著者
田原 雄一郎 Monroy Carlota Rodas Antonieta MEJIA Mildred ROSALES Regina
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.87-92, 1998
参考文献数
20
被引用文献数
4 17

グアテマラ各地の6村落の農家でチャガス病を伝搬する2種サシガメ, Triatoma dimidiata及びRhodnius prolixusの防除実験を行った。前者に対しては土壁の表面, 隙間, 割れ目に散布し, 後者では草葺き屋根の天井に散布した。人-時間採集評価でlambda-cyhalothrineは両種に対して30-60mg(a.i.)/m^2の薬量で極めて有効で, 3-4ヵ月以上にわたり再発生を許さなかった。また, deltamethrin液剤及び粉剤, diazinon, propoxurの液剤は200-600mg/m^2の薬量で2-4ヵ月の残留効果を発揮した。他方, fenitrothion及びdiazinonの液剤の効力は600-1000mg/m^2に増量したにもかかわらず劣った。また, permethrin燻煙剤は隙間の多いグアテマラの農家では有効でなかった。Deltamethrinは眼粘膜や鼻粘膜刺激が強く室内散布剤としては問題が残った。
著者
田原 雄一郎 Monroy Carlota Rodas Antonieta MEJIA Mildred PICHILLA Reginaldo MAURICIO Heberto PEREZ Miguel
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.331-336, 1998
被引用文献数
1 1

1995年緒方及びSamayoaはグアテマラのカリブ海に面した港町, Puerto Barrios及びSanto Tomas de Castillaでヒトスジシマカの生息を確認した。2年間経過後の1997年, 雨季と乾季に再び同じ地域で本種の分布拡大を調査した。今回, 同市内で調査地域を拡大したにもかかわらず, 生息は1995年と同じ地域からのみ確認できた。グアテマラ市へ至る国道沿線, グアテマラとメキシコ, ホンジュラス, エルサルバドルの国境地域, 太平洋岸の港町などでも調査したが新規な発見はなかった。本種は同一地域にあっては都市部の比較的小さな水域, 例えば, 古タイヤ, 空き缶に発生した。雨季には古タイヤと捨てられた空き缶, プラスチックに溜まった水たまりに多く見られた。ヒトスジシマカとネッタイシマカの採集比率を比較したところ, 乾季は後者が, 雨季は前者が多かった。