著者
森 敏 Mori Satoru
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-20, 2017-03-01

背景 NANDA-I看護診断は、投薬などの医療行為を施さずに、看護のみで改善可能な看護課題(看護の対象となる現象)を抽出するツールである。われわれは先に、「在宅療養者版看護診断」コンピュータシステムの基礎となる、ⅰ)看護診断ラベルの選定(10領域、49診断ラベル)、ⅱ)アセスメントリストの作成、ⅲ)診断を導く関数の考案を行った。 目的 今回、タブレット型コンピュータで動作する「在宅療養者版看護診断」コンピュータプログラムを構築した。 方法 データベースソフトには、FileMaker Pro 15を使用した。あせる面と項目の入力から看護診断ラベルの選定までを自動化した。 結果 アセスメント項目をフィールド名に置き換え、アセスメント項目の有無により診断ラベルが自動選定されるように設計した。フィールド名には使用できない文字・記号が存在するため、アセスメント項目名は一部修正した。また、アセスメント項目と診断ラベルとの重複回避、他項目での代用などの前処理も行った。フィールド定義はアセスメント項目に「1」「0」を割り当て、クリック入力できるようにした。診断ラベルの選定は、アセスメント項目のチェック状況により決定されるため、論理関数で処理される計算フィールドとした。画面設計は、画面サイズをiPad用に設定し、①療養者の属性、②各領域毎の入力項目(領域4のみ2分割)、③診断ラベルの選定結果をそれぞれ別個のレイアウトに配置し、レイアウト数は13となった。フィールド数は、療養者の属性15、アセスメント項目132、診断ラベル選定のための計算フィールド50を加え合計197となった。また、ファイル要領は1.3メガバイトとなった。iPadで患者データの入力を試みたところ、入力は迅速になされ、診断ラベルの自動選定まで問題なく動作した。入力に要する時間は一人あたり約15分であった。 結論 本プログラムを組み込んだタブレット型コンピュータを使用することにより、在宅療養者の看護診断を効率化することができる。