著者
住田 裕子 森 敏昭
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.40-53, 2019-03-30 (Released:2019-12-14)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

本研究では,小学校の算数科授業において個々の児童の深い概念理解を促すペア学習中の相互作用プロセスについて検討した。まず,小学4, 5年生の児童を算数問題解決のペア学習中になされた発話の種類に基づいて「自己中心性タイプ」「他者視点取得タイプ」「協調タイプ」の3タイプに分類した上で,ルール評価アプローチを援用したプレテストとポストテスト課題における平均得点を比較した。その結果,発話のタイプによって解決方略変容の生起に有意な差が見られ,調節的発話の発現を特徴とする協調タイプ群の児童が課題に対してより適応的な方略をとるようになり,調節的発話の生起が相互作用の効果を促進させることが示唆された。次に,それぞれのタイプ群の発話の推移を分析し,共同注意の観点に基づいて分類した3種類の発話(誘導的・未追跡的・追跡的)から次の3種類の発話(誘導的・未追跡的・追跡的)への推移確率を比較した。その結果,協調タイプ群は追跡的発話から追跡的発話への推移が他の2群に比べて有意に多く,相互作用プロセスにおいて追跡的発話の循環が概念理解を促すことが示唆された。
著者
森 敏 千葉 一元 小池 武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_111-I_120, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
11

東北地方太平洋沖地震では東北地方太平洋沿岸部で津波による甚大な地震被害を発生したが,日本海側の供給基地から日本列島を横断して仙台市に輸送された長距離高圧ガスパイプラインは致命的な損傷を免れ短時日の内に供給運転を再開することができた.本研究では,元々1995年兵庫県南部地震以前に耐震設計されていた当該パイプラインが東北地方太平洋沖地震における山間部や沿岸部の地震被害にも関わらず所要の供給機能性能を発揮できたその耐震性能を解明して,今後の耐震設計に役立てようとするものである.
著者
森 敏昭
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.57-61, 1980
被引用文献数
3

文章を黙読した場合と音読した場合とでは, 文章の記憶及び読解の成績にどのような違いが生じるかという問題を, 大学生を被験者として検討した。その結果, 音読することは, 文章を逐語的に記憶する場合には有効であるが, その効果は一時的であることがわかった。これに対し, 黙読することは, 文章を逐語的に記憶するというよりも, 文章の内容を体制化して記憶する場合に有効であり, その効果は音読の場合よりも永続的であることがわかった。<BR>一方, 黙読するか音読するかということによって, 読解の成績には顕著な差はみられなかった。このことは, 黙読するか音読するかという事が読解と無関係であるというより, 読解テストのやり方自体に方法上の改善をほどこす必要があるということを示唆するものと考えられる。
著者
森 敏昭
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.57-61, 1980-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
9
被引用文献数
4 3

文章を黙読した場合と音読した場合とでは, 文章の記憶及び読解の成績にどのような違いが生じるかという問題を, 大学生を被験者として検討した。その結果, 音読することは, 文章を逐語的に記憶する場合には有効であるが, その効果は一時的であることがわかった。これに対し, 黙読することは, 文章を逐語的に記憶するというよりも, 文章の内容を体制化して記憶する場合に有効であり, その効果は音読の場合よりも永続的であることがわかった。一方, 黙読するか音読するかということによって, 読解の成績には顕著な差はみられなかった。このことは, 黙読するか音読するかという事が読解と無関係であるというより, 読解テストのやり方自体に方法上の改善をほどこす必要があるということを示唆するものと考えられる。
著者
笛木 賢治 大久保 力廣 谷田部 優 荒川 一郎 有田 正博 井野 智 金森 敏和 河相 安彦 川良 美佐雄 小見山 道 鈴木 哲也 永田 和裕 細木 真紀 鱒見 進一 山内 六男 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 玉置 勝司 松香 芳三 塚崎 弘明 藤澤 政紀 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.387-408, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
66
被引用文献数
4 6

本ポジションペーパーは,義歯床用の熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の呼称と定義を提案し,臨床適用への指針を示すことを目的とした.(公社)日本補綴歯科学会会員から,熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の臨床経験を有するエキスパートパネル14名を選出した.パネル会議で検討した結果,「義歯の維持部を義歯床用の樹脂を用いて製作したパーシャルデンチャーの総称」をノンメタルクラスプデンチャー(non-metal clasp denture)と呼称することとした.ノンメタルクラスプデンチャーは,樹脂と人工歯のみで構成される剛性のない義歯と,金属構造を有する剛性のある義歯とに区分される.剛性のないノンメタルクラスプデンチャーは,金属アレルギー症例などの特別な症例を除き,現在の補綴臨床の原則に照らし合わせ最終義歯として推奨できない.剛性のあるノンメタルクラスプデンチャーは,審美領域にメタルクラスプが走行することを患者が受け入れられない場合に推奨できる.ノンメタルクラスプデンチャーの設計は,原則的にメタルクラスプを用いた部分床義歯の設計に則したものでなければならない.熱可塑性樹脂の物性は材料によって大きく異なるため,各材料の特性を考慮して臨床適用する必要がある.全般的な特徴としては,アクリルレジンよりも変色,面荒れしやすく,材料によっては破折しやすい.現時点では,樹脂の理工学的性質と義歯の治療効果と術後経過に関する研究が不十分であり,今後これらの知見が集積され本ポジションペーパーの改訂とガイドラインの策定が望まれる.
著者
河野 健一 矢部 広樹 森山 善文 森 敏彦 田岡 正宏 佐藤 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.635-641, 2015 (Released:2015-11-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5 2

血液透析患者の転倒リスクを予測するうえで有用な指標を明らかにする. 歩行可能な血液透析患者123例を対象に転倒の発生を主要アウトカムとする1年間の前向きコホートを実施した. 身体パフォーマンスに関する指標であるshort physical performance battery (SPPB), 筋力, 筋肉量に加え, 栄養状態の指標や透析に関連する指標の転倒に対するハザード比を算出した. 観察期間内に38名 (31%) が転倒し, 透析関連低血圧 (intra-dialytic hypotension : IDH) が独立した危険因子として抽出された (HR=2.66, p=0.01, Log rank test p=0.002). また, SPPB 7点以下は11点以上と比較して有意に転倒のリスクが高かった (HR=2.41, p=0.02, Log rank test p=0.021). IDHやSPPBの低下は透析患者の転倒リスクを予測するうえで有用な指標となることが明らかとなった.

3 0 0 0 OA Clicking larynx例

著者
杉田 俊明 森 敏裕 稲木 匠子 丘村 煕
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.261-266, 1992-02-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

The authors describe a case of clicking larynx, which is characterized by a clicking sound and pain in the neck on swallowing. A 58-year-old woman complained of pain and clicking on both sides of her neck on swallowing. Examination and fluoroscopy showed that on swallowing, the thyroid cartilage entered between the greater hyoid cornua. The thyroid cartilage and hyoid bone were locked together until they reached the end of their downward course, when the sterno-thyroid muscle contracted strongly to separate the locked structures. At the moment of this separation, a click was produced. Both superior cornua of the thyroid cartilage were surgically removed, and the click and pain on swallowing disappeared.
著者
沖林 洋平 神山 貴弥 西井 章司 森保 尚美 川本 憲明 鹿江 宏明 森 敏昭
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.149-152, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では,児童生徒の情報活用の実践力と情報モラルの関係について調査を行った.情報活用能力実践尺度得点と情報モラル課題について学年間比較を行った結果,次の2点が明らかとなった.まず,全般的な情報活用の実践力は,中学生の方が小学生よりも高かった.つぎに,情報モラルについては,小学生と中学生ともに情報モラル意識と情報活用の実践力に関連が見られた.また,全般的な情報活用の実践力については,中学生の方が小学生よりも有意に高く,とりわけ,情報活用の実践力の中でも「収集力」「判断力」「処理力」について,中学生の方が小学生よりも有意に高かった.また,情報モラルの高さと家庭における教育に関連があること,初等中教育課程での学校教育における総合学習等の授業における授業実践の効果が示唆された.
著者
濱口 郁枝 吉田 有里 森 由紀 大森 敏江 中野 加都子 松村 俊和 山本 存 藤堂 俊宏 宮田 倫好 上島 一泰
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.143, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 女子大生のコーヒーの嗜好について調査し、好まれるコーヒーを検討した。 方法 兵庫県内の一大学の女子学生を対象とし、コーヒーを飲む頻度や嗜好に関する質問紙調査と、2回の官能評価を実施した。1回目は、普段コーヒーを飲まない24名に円卓法で検討した。試料は、H:数種のブレンド・焙煎標準、J:ミャンマー産をブレンドに追加・焙煎軽め、P:オリジンごとに分けて焙煎、の3種とし、ブラックとミルクや砂糖を入れて評価した。2回目は64名に、1回目の結果をもとに改良したものと、エチオピア産のシングルオリジンをブラックで味わい、2点嗜好試験法で比較した。 結果 ドリップコーヒーを飲む者は23%と少なく、カフェラテなど甘めのコーヒーを飲む者が70%と多かった。官能評価1回目の結果、Hは、香ばしくて美味しく飲みやすいが酸味がある、Jは、ブラックでも飲みやすくミルクと砂糖を入れると一番美味しい、Pは、酸味が強く美味しさは他より劣る、との評価が得られた。そこで、評価の高いJの焙煎度を上げてコクを出し、ミャンマー産の豆をインドネシア産マンデリンG-1にかえて改良した。2回目の結果、酸味、総合評価ともにJの改良が好まれた(各p<0.01)。Jの改良を飲んだ後は、コーヒーの好みの程度が上昇した(p<0.01)。したがって、穏やかな酸味とバランスのとれた味わいのブレンドコーヒーは、ブラックでも女子大生に好まれることが示唆された。
著者
森 由紀 大村 知子 大森 敏江 木岡 悦子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.949-958, 1999-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

携行品運搬における背負い方式の有用性に関する研究についてすでに報告した。本報では背負い方式が一般的である小学生の学習用具携行に関する実態調査および実験を行い次のような知見を得た.(1) 通学用鞄のタイプに関して, 個人の自由に任せている学校があったが, 1年生の大部分はランドセルを使用していた.6年生が使用している通学用鞄のタイプは, ランドセルが70。0%, リュックサックが20.4%, その他が9。6%で, 高学年ほどランドセルの使用が減少し多様化する傾向がみられ, ランドセルの体格への不適合もその一因であると推察された.(2) 教師はランドセルの使用について, 両手をあけることの安全性や丈夫であるなどの長所を挙げる一方で, 1年生には重すぎる, 高学年には窮屈で格好が悪いなどの問題点を指摘していた.(3) 通学用鞄に学習用具重量を加えた携行総重量の体重比は, 1年生では平均14.8%, 4年生では 11.2%, 6年生では9.0%であり, 低学年ほど体重の割に重いものを携行していた.学習用具の内容は教科書, ノート, 筆記用具の他, 副教材, 補助教材などであった.(4) 低学年児童を被検者とするランドセル背負い実験では, 荷重圧が肩中央部および腰椎部に大きく加わり, 学習用具重量が増すほど荷重圧も大となった.特に, 肩中央部において静立時の荷重圧に対する歩行時の最大荷重圧の比率が大となる傾向がみられた.(5) 体型によって荷重圧の分布が異なり, 背面が平らな者は肩中央部への荷重圧が大きく, 腰部後面が平らな者は腰椎部への荷重圧が大きいという特徴がみられた.(6) ランドセル背負い時の姿勢観察の結果, 静立時, 歩行時いずれにおいても, 学習用具重量が増すほど前傾姿勢をとることが認められた.以上のことから, 低学年児童にとっては重すぎる負荷を軽減する方策を, 高学年児童には体格に適合する携行方法を, 中身の問題とともにそれぞれ検討する必要があると考えられる.
著者
大森 敏行
出版者
日経BP社
雑誌
日経network (ISSN:1345482X)
巻号頁・発行日
no.217, pp.24-41, 2018-05

インターネットは米国の実験ネットワーク「ARPANET」から始まった。それまで使われていた回線交換という手法とは全く異なるパケット交換というアイデアを取り入れたネットワークだ。その後、IP(Internet Protocol)やルーティング、名前解決といった仕組みが整備され、現在のようなWebの世界が出来上がっていく。この特集では、インターネットの生い立ちを知ることで、インターネットを構成する様々な要素技術の理解を深めていく。
著者
内田 泰 大森 敏行 根津 禎
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1048, pp.61-72, 2011-01-24

テレビに大変革の時が訪れている。放送される番組をただ見るだけの受動的なデバイスから,ユーザー自らが見たい動画コンテンツやアプリーション・ソフトウエア(以下,アプリ)などを探すといった「能動的なデバイス」への変化である。 2010年のCESでは,「Netflix」や「Vudu」,「YouTube」などインターネットの動画配信サービスの多くに対応したネット・テレビが注目を集めた。
著者
柳谷 真由美 森 敏則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.286, pp.41-46, 1997-09-26
参考文献数
6
被引用文献数
2

電気ケーブルからの放射ノイズの低減を狙いとして高透磁率・高損失な金属磁性箔を付加したケーブルを作製した. 磁性箔を付加することによってケーブルに生じる伝送損失の測定を行なった. その結果, 心線の外側に直接磁性箔を巻いた時の伝送損失は周波数の増加とともに増え, 300MHzにおいて最高11dB/3m となったが, アルミテープを磁性箔と心線の間に巻くことによって, 通常の磁性箔無しのシールドケーブルと同等の伝送損失となることが分かった. また, 磁性箔だけでは外側の心線と内側の心線の伝送損失の差が大きくなるが, アルミテープを心線と磁性箔との間に巻くことで心線位置による差が小さくなることも分かった. この原因としては, 心線近傍の磁界がアルミテープの渦電流損失によって弱められるため, 磁性箔がケーブル心線に付加するインピーダンスが小さくなることが影響していることを示した. また, 高透磁率・低抵抗率の磁箔を使用した場合は, 1層目の磁性体により渦電流損失・反射が起こるため, ケーブルに多重に巻き付けても伝送損失増加に対する影響は大きくないことを明らかにした.