著者
Moussa SANE 山岸 宏光
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.360-366, 2004-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
5

多くの西アフリカ沿岸都市同様, セネガルの首都ダカールはいくつもの海岸災害を起こしやすい. その中で最も深刻な災害は海岸浸食である. ダカールの地質は主に第三紀火成岩とそれを覆う第四紀堆積物からなっており, 自然の過程に逆らった人間活動の結果, とくにそのような堆積物に覆われた地域が重大な浸食にあってきた.自然現象による海岸浸食は荒波の時期に絶え間なく続き, うねりと潮汐波の2つの波の形態によって起こる. 人間活動による海岸浸食への悪影響は, 粗末な都市計画と人口過剰の累積効果である. セネガルのほとんどの経済活動は, 活発な地域であるダカールに集中しており, 生計を立てるために多くの人々が移り住んでいる. このような過度の人口集中が建設ブームを引き起こ し, 砂浜や砂丘から砂を過剰に取り去ってしまった. その結果, 浸食と堆積のバランスが変化したために陸地の低下が始まり, 最終的に大規模な海岸浸食を引き起こした.