著者
石倉 健二 高島 恭子 高橋 信幸 井手 睦美 Kenji ISHIKURA Kyouko TAKASHIMA Nobuyuki TAKAHASHI Mutsumi IDE
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.159-165, 2008-03

自閉症の大きな特徴の一つである「反復的で常同的な様式」は「同一性保持現象」とも呼ばれ、問題行動とみなされることも多い。本研究はこの「同一性保持現象」について、自閉症児の母親15名に質問紙調査を実施し、以下の結論を得た。一つ目は、「単純反復運動」で特徴づけられる「常同行動」と、「固執」「配列」「質問嗜好」「空想」で特徴づけられる「こだわり行動」はその出現の様相が異なることが示された。このことから、「常同行動」と「こだわり行動」は別々の機能的側面を有することが示唆された。二つ目は、「一週間後の予定の理解」のある者の方がその他の者よりも、「こだわり行動」が多いことが示された。「時間的見通し」が「こだわり行動」に影響を与える独自の要因であるのか、言語能力や「時間的なこだわり」を反映するものなのかは定かではなく、今後の更なる検討が求められる。