著者
高橋 信幸 山岸 俊男 林 直保子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.9-16, 1999-04-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
7 2

Recent computer simulation studies (Takahashi & Yamagishi, 1995, 1996) suggest the possibility that altruists outperform egoists, and the key to their advantage is a strategy called Downward OFT. The strategy calls for acting always altruistically, at the same time selecting as the target of the altruism the most altruistic person among potential recipients. The main purpose of this study was to examine whether people actually follow Downward OFT in a situation where no direct reciprocity was possible. Results were as follows: (1) Pure generalized exchange (i.e., unilateral recourse giving) did emerge and persisted over forty-five trials. (2) Subjects selected other altruists as recipients of their unilateral resource giving. (3) The tendency of altruistic subjects to discriminate among potential recipients of their altruism was stronger than that of self interested subjects. (4) Subjects who unilaterally gave more resource ended up with more profit (resource received minus resource given) than those who gave less.
著者
石倉 健二 高島 恭子 高橋 信幸 井手 睦美 Kenji ISHIKURA Kyouko TAKASHIMA Nobuyuki TAKAHASHI Mutsumi IDE
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.159-165, 2008-03

自閉症の大きな特徴の一つである「反復的で常同的な様式」は「同一性保持現象」とも呼ばれ、問題行動とみなされることも多い。本研究はこの「同一性保持現象」について、自閉症児の母親15名に質問紙調査を実施し、以下の結論を得た。一つ目は、「単純反復運動」で特徴づけられる「常同行動」と、「固執」「配列」「質問嗜好」「空想」で特徴づけられる「こだわり行動」はその出現の様相が異なることが示された。このことから、「常同行動」と「こだわり行動」は別々の機能的側面を有することが示唆された。二つ目は、「一週間後の予定の理解」のある者の方がその他の者よりも、「こだわり行動」が多いことが示された。「時間的見通し」が「こだわり行動」に影響を与える独自の要因であるのか、言語能力や「時間的なこだわり」を反映するものなのかは定かではなく、今後の更なる検討が求められる。
著者
高橋 信幸
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.165-174, 2005-01-31

日本の対人社会サービスからスティグマを払拭するにあたって、なぜ「措置から契約へ」の転換が必要であったのか。本稿はこの問題意識の下、デンマークと日本を比較することでその解答を見つけようとしている。そのために、まずデンマークと日本のサービス利用の違いを比較し、その違いが生じる要因を分析した。さらに、これらの要因を取り除いて普遍的な対人社会サービスを実現するには、地域からの分権、協働、民主主義、教育が重要であることを指摘した。