著者
坪井 章雄 N D パリー
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.23-32, 2011-03

本研究の目的は、認知症高齢者の介護家族(以下:認知症介護者)の、抑うつ傾向軽減に有用なサービスを検討することである。茨城県下の全介護者を対象に、層化二段無作為調査を実施した。結果、認知症介護者は476名(男89名、女387名)、認知症介護者におけるサービス利用者と非利用者の抑うつ傾向では、「ショートステイ」、「トイレの改造」で利用者の抑うつ傾向が有意に高かった。一方、「障害の予後や改善の説明」では、サービス利用者の抑うつ傾向が有意に低かった。問題解決実施者と非実施者の抑うつ傾向については、「福祉職に相談する」で抑うつ傾向が有意に高かった。一方、「相談者がいる」、「援助者がいる」、「趣味がある」では、抑うつ傾向が有意に低かった。認知症介護者の家族は、身体障害の介護家族と同様に家族を中心とした相談者や介護支援者や趣味的活動の有無が、介護者の抑うつ傾向の軽減に有用であることが示唆された。