著者
Namula ナムラ NAMULA
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.18, pp.111-128, 2009-03

シリーンゴル盟大草原は、古くから内モンゴルにおける代表的な草原地域であり、自然と伝統文化が保たれていると言われていた。しかし、近年になって、自然生態が破壊され、砂嵐の発生する回数や規模が酷くなっている。こうした状況の中で、政府は破壊された草原を取り戻し、牧畜民たちの生活水準を向上させるために、牧畜民たちを移動させ、彼らの営んで来た伝統的な牧畜業を止めさせる「生態移民」政策を実行している。そこで、本論文は、現在の草原地域で行われている「生態移民」政策の実施されている状況と移住されてきた生態移民たちの生活を人類学的な方法(フィールドワーク)で捉え、生態移民たちの視点から問題点を見つけだした。そして、生態移民たちの生活・文化的な変化を考察したものである。