著者
曺 喜澈 Hee Chul CHO 国立国語研究所 National Language Research Institute
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
no.4, pp.61-73, 1994-06-01

これまでの漢字文化圏の学習者に対する漢字教育は、すでに漢字の下地があるものとみなされ、非漢字文化圏の学習者に対する漢字教育に比べてみると、相対的になおざりにされてきた感がある。 韓国人の既習の漢字能力を大いに活用して、日本語の教育に臨むべきであるが、安易に両国語の類似性だけを強調して、日韓両国の漢字の異同を見逃してはいけない。日韓両国の代表的な漢字使用の基準である、常用漢字と基礎漢字には、字種および字 体はもちろん、音や訓などにも数多くの違いがみられる。さらに、使用頻度や実態にもかなりのずれがみられる。したがって、日本語学習や教育においてはいうまでもなく、教材や辞書・字典など の作成においても両国の漢字の位相をよく工夫・研究し、韓国人の日本語学習者のための教育方法を講じなければならない。本稿は、主に日本の「常用漢字」と韓国の「基礎漢字」を対照比較しつつ、日本語の漢字教育を行なう際に注意すべき点をまとめ、 韓国人学習者のための漢字の学習法・指導法の改善に資することを期したものである。