著者
近藤 哲也 PHARTYAL Singh Shyam PHARTYAL SINGH SHYAM
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

・野外での実験秋における種子の成熟期には,C.giganteumの種子は未発達の胚を有しており,胚は,翌年の高温期の夏を経た秋に生長を開始した。播種してから二回目の冬の終わりから春の初めにかけて発根し,雪が解けた春に出芽した。すなわち,種子が散布されてから出芽までには18-19ヶ月の長い期間を要した。・室内での実験野外での実験では,種子散布後,「(秋→冬→春)→夏→秋→冬→春」の2回目の春に子葉が出芽した。しかし,室内の実験では,野外の夏→秋→冬→春を模した25/15℃(120d)→15/5℃(90d)→0℃(90d)→15/5℃の温度推移を与えることで,胚が生長し,発根して出芽した。すなわち,C.giganteumの種子は秋に結実するにもかかわらず,その後の(秋→冬→春)の温度は,胚成長,発根,出芽に不要であることが示された。夏→秋の温度を与えられて完全に胚が伸長した種子は,その後,90日間の冬の温度を経験させることによって幅広い温度で,高い発根率と出芽率を示した。GA3は,胚の生長に対して効果はなく,したがって,その後の発根と出芽にも効果はなかった。・種子の貯蔵採取直後の種子は,96%の高い発芽率を有していた。-20℃と0℃で密封乾燥貯蔵した種子は,貯蔵後450日を経ても80%以上が生存していたが,15℃,20℃,そして室温で貯蔵した種子は450日の貯蔵後には,生存率が20%にまで低下した。