著者
菅野 了次 PITTELOUD Cedric Alexandre
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

電解二酸化マンガンは熱処理にようて構造が変化し、リチウムイオンの可逆的なインターカレート量が増加する。一般に熱処理によって(1×2)のトンネルを持つRamsdellite構造から(1×1)のトンネルを持つPyrolusite構造へ変化することが知られているが結晶性が低いため通常の回折法では構造の詳細な情報は得られず、リチウムイオンのインターカレーション機構の結晶学的な観点からの考察はほとんど行われていない。本研究では電解二酸化マンガンの構造や形態の特徴を捉えるために、X線および中性子回折法を用いて、積層欠陥考慮に入れた構造解析を行った。中性子回折測定は高エネルギー加速器研究機構のVEGA回折計により行った。様々な温度で熱処理を行った電解に酸化マンガンの構造を求めるために、Ramsdelllite構造、Pyrolusite構造、およびその双晶が一定の割合で存在している仮定し、回折図形を計算した。その結果、熱処理の温度の上昇と共に進行するRamsdenite構造からPyrolusite構造への変化は、Ramsdellite構造、Pyrolusite構造、およびその双晶の割合の変化に伴う複雑な構造変化であることが明らかになった。これらの相が積み重ねられることにより、Ramsdenite構造、Pyrolusite構造よりも大きなサイズのトンネルが存在し、処理温度180℃でトンネルサイズが最大になることがわかった。