著者
土田 健次郎 SEONG Hyun Chang SEONG HyunChang
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

朱子学とは言うまでもなく、南宋の朱熹(朱子)の思想であるが、これは朱熹個人を超えて、朱子学という教学として圧倒的な権威を東アジア近世で持った。また東アジアの近代化がこの朱子学を抜きにして語れないのも周知の通りである。中国に誕生し、広く東アジアに展開した朱子学に関しては、膨大な研究の蓄積がある。それも、朱熹自体、中国朱子学、朝鮮朱子学、日本朱子学、ベトナム朱子学の研究というように、国を超え時代を超えた研究群である。本研究は、この膨大な研究を収集し整理し、さらにその成果を研究者に便宜を提供することを目的としている。朱子学の研究には、中国語、韓国語、日本語、英語、ドイツ語のものなど各国語のものがあるが、今回は、中国語、韓国語、日本語のものを収集し、整理した。その一端は、「韓国と日本における朱子学の研究史的発展のための予備的考察-日本における朱子学研究の動向を手掛りとして」(韓国語)(『東洋哲学研究』45)、「韓国における朝鮮儒学研究の課題-「朱子学的心学」をめぐって-付・朱子学研究文献目録(韓国篇)」(日本語)(『近世儒学研究の方法と課題』)、「韓国における朱子学研究の動向-二〇〇〇年から二〇〇五年六月まで-」(日本語)(『東洋の思想と宗教』23)、という形で公表した。これらは韓国語で書かれた中国朱子学と朝鮮朱子学に関する研究史的整理が中心であるが、将来は中国語と日本語の朱子学研究も整理して公表する予定である。特に今回は、研究文献のデータベース化の作業を遂行した。これは各研究論文、研究書、資料の、著者、表題、掲載誌、巻号頁、発行所、発行年月、キーワードなどを採録し、そのいずれからも引けるものである。現在まだ作業の途中であるが、今までの分だけでもかなりの蓄積になっている。特にキーワードは、一定の基準を定め統一的に採ったものであって、将来完成したあかつきには、朱子学研究の膨大な資産が多方面から検索できることになろう。