著者
杉浦 哲朗 SERGIO A. CON CHIN CON CHIN Sergio A.
出版者
高知大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

胃癌の高頻度発症国であるコスタリカでの胃内ヘリコバクター・ピロリ菌感染と消化管疾患発症との関連性について研究している。これまでに、コスタリカ人から分離されたピロリ菌の2遺伝子(cagAとvacA(s1/ml))。保有率はEurope/North AmericaとEast Asiaの中間に位置しており、vacA s1bとvacA m1型遺伝子保有ピロリ菌感染と胃癌群との間に関連性を認めた。一方でvacA m1型のみが萎縮性胃炎と関連性を認め、統計学上は有意差を示さなかったが、cagA/vacA s1b型と萎縮性胃炎の間にも関連性を示す傾向が判明した。(論文発表)また、Low-PG(血清ペプシノーゲン値)、Very Low-PG、ピロリCagA抗体は、個々に萎縮性胃炎と腸上皮化生との間に関運性を示したが、サイトカインであるIL-1B+3954T保有者とIL-1RN(ホモで2つのアレル保有者)は腸上皮化生とのみに関連性を示した。さらに、胃体部の萎縮性胃炎を検出するためのVL-PG値は、sensitivity(77.4%)、specificity(80.7%)、PPV(39.3%)、NPV(95.7%)と良好な検査診断法(マーカー)と考えられた。また、VL-PG値にピロリCagA抗体の結果を加えることにより、sensitivity(74.2%)、specificity(92.7%)、PPV(62.2%)、NPV(95.7%)となりさらに特異性が向上した。以上より、胃癌のハイリスクである胃体部の萎縮性胃炎を検出・診断するためには血清ペプシノーゲンの周期的な測定のみか、或いはピロリCagA抗体測定との組み合わせ検診がコスタリカにおける検診として最も適していると考えられた。(論文発表)