著者
清水 強志 SHIMIZU Tsuyoshi
出版者
創価大学通信教育部学会
雑誌
通信教育部論集 (ISSN:13442511)
巻号頁・発行日
no.25, pp.54-70, 2022-08-07

「不安の社会学」という本研究の目的は、現代社会において増加している不安の特徴を社会学的に明らかにすることである。また、これまでの不安についての社会学理論を再考し、さらにそれらの研究・整理を通して、現代におけるデュルケーム社会学の意義を検討することにある。 その序章にあたる本稿では、まず、フロイトを手がかりに、社会学的研究の対象としての「不安」について明らかにした。その上で、サムナーの「内集団/外集団」論を、フロイトの成長の初期段階における「外」への認識をふまえつつ、ギュルヴィッチの「われわれ意識」およびデュルケームの「社会統合論」によって拡充し、心理現象としての「不安」を社会学的に研究するための中範囲の理論を確立した。