著者
杉山 信太郎 SINTH Sarobol TAWAN Hangsoongnern
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09178333)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.13-18, 2005-03

フィリピンやタイでの作物や果樹の混植栽培で,病虫害が予想以上に抑制される現象に着目し,タイ国チェンマイ市郊外の堀割りや木立ちに囲まれた水田跡地に,各小面積に植えた野菜数種類を混作する栽培を年間3作,2年間継続して,病虫害をこみにした被害率が89%から2年後に6%に低下する事実を認めた.被害率が最初の20%まで低下した期間は1.5年(18カ月)で,これが東京付近で経験的に自他ともに認められる病虫害が減少する3年間の1/2であること,また年間平均気温がチェンマイで26℃,東京で16℃で温度差の10℃から,Q_<10>=2の温度反応式を満たすことを認め,有機農業の継続栽培による病虫害の減少が,地上・地下の多様な生物の集団の抑制作用によることを推定した.また,混作の継続により虫害が病害より早く減少し,雨期に乾期より病虫害が低下することを観察した.さらに生物多様性の進化の理論から,有機農業における生物多様性による病虫害抑制作用は養・水分が補給される限り,時間的に進行することを理解した.
著者
杉山 信太郎 SINTH Sarobol TAWAN Hangsoongnern Shintaro SUGIYAMA Sarobol SINTH Hangsoongnern" TAWAN
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.13-18, 2005-03

フィリピンやタイでの作物や果樹の混植栽培で,病虫害が予想以上に抑制される現象に着目し,タイ国チェンマイ市郊外の堀割りや木立ちに囲まれた水田跡地に,各小面積に植えた野菜数種類を混作する栽培を年間3作,2年間継続して,病虫害をこみにした被害率が89%から2年後に6%に低下する事実を認めた.被害率が最初の20%まで低下した期間は1.5年(18カ月)で,これが東京付近で経験的に自他ともに認められる病虫害が減少する3年間の1/2であること,また年間平均気温がチェンマイで26℃,東京で16℃で温度差の10℃から,Q_<10>=2の温度反応式を満たすことを認め,有機農業の継続栽培による病虫害の減少が,地上・地下の多様な生物の集団の抑制作用によることを推定した.また,混作の継続により虫害が病害より早く減少し,雨期に乾期より病虫害が低下することを観察した.さらに生物多様性の進化の理論から,有機農業における生物多様性による病虫害抑制作用は養・水分が補給される限り,時間的に進行することを理解した.