- 著者
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添田 梨香
上田 公代
SOEDA Rika
UEDA Kimiyo
- 出版者
- 一般社団法人 日本女性心身医学会
- 雑誌
- 女性心身医学 = Journal of Japanese Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynecology (ISSN:13452894)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.3, pp.306-313, 2016
本研究では,妊娠中の「ストレス要因とそのストレス反応」について,その「ストレス対処」には「ソーシャルサポート」の強化,「生活満足度」や「心の健康度」の向上が有効に関連する,という概念枠組みのもと,相互の関連性を明らかにすることを目的とした.2011年4月25日~2012年3月9日,質問紙調査を行い,妊娠初期175名,中期207名,末期191名の計573名の妊婦を分析した.その結果,ストレス要因とその反応の得点は,妊娠3期別比較で有意差はなかった.ソーシャルサポートの実現度は,妊娠の全期間を通じて高い傾向にあり,生活満足度は初期より末期が有意に高く,夫に関連する満足度が高い傾向にあった.重回帰分析により,妊娠ストレスを低下させた要因は,生活満足度と心の疲労度(低い)であった.一方,妊娠ストレスを高めた要因は,日常ストレスであった.ストレス要因とストレス対処についての記述では,どちらも「夫」に関する内容が,それぞれ23.6%,33%と最も多く言及されており,夫に関することはストレス要因であり,同時にストレス対処要因と考えられた.</p><p> これらより,ストレス要因の緩和やストレス対処には,生活満足度の高揚と,心の疲労度(が低いこと)が重要であり,特に夫との関係性や夫のサポート力を高めることの重要性が示唆される.