- 著者
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川端 猛夫
SOKEIRIK Y. S.-
SOKEIRIK Y.S.
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2010
α位に分岐のない脂肪族アルデヒド間のクロスアルドール反応を目的とした触媒開発に取り組んだ。標的反応はアセトアルデヒドと3-アシルアミノプロピオンアルデヒド(RCONHCH_2CH_2CHO)とのクロスアルドール反応で、生成物は高脂血症治療薬リピトールの合成中間体となる。本触媒ではアルデヒドのエナミンへの活性化にプロリン骨格ではなく、ピペリジンを用いた。ピペリジンはプロリンのアミン部分であるピロリジンに比べて、生成するエナミンの反応性が低い。これにより反応性の高いアセトアルデヒドのみをドナーアルデヒドとして活性化できると期待した。一方、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドのアクセプターとしての選択的活性化は、触媒分子のピペリジン4位に組み込んだアミノ基による基質のアミドNH基との水素結合形成を介して基質のホルミル基が反応点近傍に配置された触媒側鎖のカルボン酸によりプロトン化を受けることで達成したいと考えた。想定通り、3-アシルアミノプロピオンアルデヒドをアクセプターとし、アセトアルデヒドをドナーとするクロスアルドール反応が進行したが、過反応により脱水が起こり、アルドール縮合体が得られた。現在、脱水を起こさず、アルドール反応の段階に留めて制御する反応系を検討中である。また位置選択的ハロゲン化触媒の開発を目指し、スルフィド及びチオアミドを活性中心とする有機触媒を開発した。これらはオレフィン類のハロアミノ化の良好な触媒となることわかったが、位置選択性の獲得にはまだ至っていない。