著者
齋藤 達弘 Saito Tatsuhiro
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.96, pp.157-170, 2014-03

この論文の目的は,一正蒲鉾株式会杜が,店頭登録市場に株式を公開した 1989年から2013年までの25年間,どのように企業成長をファイナンスしてきたのかを検証し,その財務政策を考察することにある.一正蒲鉾は,株式を公開した後の資金調達を資本市場に求めることはなく,もっぱら銀行借入に頼り続けている.なぜ一正蒲鉾は株式発行による資金調達を選択しないのか.その理由は,経営権を脅かすことになりかねない株主構成の変化を回避し,ファミリー企業として存続させたいという企業の私物化にあるのではないかと考える.