著者
崎浜 聡 サキハマ サトシ Sakihama Satoshi
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.34, pp.181-192, 2013

ランゲフェルド(Martinus Jan Langeveld, 1905-1989)は、教育学における現象学の導入には一定の制限を加えることによってのみ受け入れることができる、と主張した。そのため、教育学における現象学は主に方法論に限定される方向付けがなされた。特に、日本では、ランゲフェルド研究の第一人者である和田修二(1932- )が無批判的に受容したため、より強い影響力を与えてきた。本研究の目的は、ランゲフェルドの著作に散見される現象学に関する記述をまとめ、現象学への批判が具体的にどのようなものだったかを明確にし、ランゲフェルドの視点から現象学批判の核心を絞り出すことにより、現象学に内在する根本問題が実践学への転用を困難にしている様を把握し、この問題を乗り越えようとする新しい現象学である「生の現象学」の可能性に言及することである。The purpose of this study is to describe phenomenology as it appears in Langeveld's writings as well as provide a clear summary, concrete criticism of phenomenology, and present the basic problems inherent to phenomenology. This will be accomplished by rst squeezing the core of phenomenology criticism from Langeveld's standpoint. On one hand, I propose " Phénoménologie de la vie " to overcome this problem.