著者
小杉 誠司 Seiji KOSUGI
出版者
淑徳短期大学紀要委員会
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
no.46, pp.145-156, 2007

光子箱の思考実験を、Heisenbergの不確定性関係を拡張した小澤の不等式に適用した細谷と石井の考察を検討した。彼らの設定では△mc^2は出ていった光子のエネルギーであって、エネルギーの不確定さではない。従って△m→0としても、光子のエネルギーを正確に測定したことになっていない。また彼らの設定ではTはシャッターが開いている時間であり、△TはそのTに対する不確定さになっている。従って△T→0としてもT→0とはならないので、光子の発射時刻を正確に測定したことにはならない。バネの伸びから箱の静止質量を測定する際の精度△mがκσ_q/gであることに気がつけば、Bohrの議論で曖昧であった点が明瞭になる。箱をつりあいの状態にするのに要する時間Tを充分大きくしたとき、△mを決定しているのはTではなくバネ定数κである。