著者
Takashi OKAZAKI Kanichi SUZUKI Shizuhiko MAESHIGE Kiyoshi KUBOTA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
NIPPON SHOKUHIN KOGYO GAKKAISHI (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.784-788, 1991-09-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

ジャガイモの蒸煮中における硬さの変化を,85℃~105℃の温度範囲で測定し,速度論的解析を行った.(1) 1個のジャガイモの中央部に近い柔組織を試料にすることによって,安定した硬さの試料を得ることができた.(2) 加熱初期の昇温中にジャガイモの硬化現象が観察されたが,比較的高い蒸煮温度(95℃~105℃)において顕著であった.(3) ジャガイモの軟化は,機構の異なる2段階より成っていた.それぞれを軟化の前期と後期として軟化速度を擬一次反応に近似して解析したところ,それぞれEa=171kJ・mol-1およびEa=123kJ・mol-1となった.また,硬さが初期値の約1/10になったところで後期の軟化が始まった.(4) 後期の軟化開始時間と処理温度との間に次の関係が成立した.log t=8.85-6.33×10-2・T (tは後期の軟化開始時間(s), Tは蒸煮温度(℃))この式から計算される100℃の後期の軟化開始時間は330sとなり,文献の最適蒸煮時間に近い値であった.