著者
片岡 祥 園田 直子 Sho Kataoka
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-8, 2010

本研究では青年期における愛着対象の移行を検討した。146 名の高校生と161 名の大学生を調査参加者として,4 つの愛着機能(近接性の維持,安全な避難場所,分離不安,安全基地)について対象が誰であるのか質問紙で調査した。その結果,高校生に比べて大学生では全ての愛着機能について親が対象として選択される割合が高かった。このことは,子どもの成長に伴い愛着対象が親から他の対象へ移行するという一般的な知見とは異なり,青年期後期において再び親が愛着対象としてみなおされる可能性を示唆する。また,高校生と大学生で恋人がいる者は,恋人や友人を愛着対象として選択する傾向があった。高校生で恋人がいない者は友人を愛着対象として選択する他に愛着対象が「いない」と回答する傾向があったが,大学生で恋人がいない者は親や友人を愛着対象として選択する傾向があった。青年期中期の青年は親から分離しており,青年期後期の青年は親を再び愛着対象としてみなおしているという可能性が考えられた。