著者
Sterling Adam N.
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.167-182, 2014-03

研究ノート・資料(Note)2012年11月に政治資金収支報告書への虚偽記載をめぐって民主党元代表の小沢一郎の無罪が確定した。このことは、政治とカネの実態を象徴するものであり、利益誘導政治を抜本的に改善すべく1994年に成立した政治改革が未だに効果を発揮しておらず、政治資金に対する規制がザル法であることを改めて明らかにした。本論文では、政治資金をめぐって日本の抱える問題を如何に解決するか、その示唆を得んがために、まず政治資金規正法の諸規制を概観する。そして、政治資金パーティーによる企業献金の抜け道や個人寄附の遅れといった問題に焦点を当て、寄附制限と公開規定が腐敗防止策として機能していないことを明らかにする。筆者は、日本の文化や日本独自の問題を考慮した上で、1998年にエアーズによって提唱されたDonation Booth制度に基づいた新たな規制のあり方が必要であると考える。