著者
TSUNEHIRO ISHIDA NORITAKA SUGAMATA YOSHIKI TAKAI JUN HORIGUCHI YUKIKO KOIBUCHI TAKAO YOKOE YUICHI IINO YASUO MORISHITA TETSUNARI OYAMA TAKASHI JOSHITA
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
The KITAKANTO Medical Journal (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.519-524, 1993-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16

甲状腺癌術前診断における穿刺吸引細胞診の有用性を検討した.1975年から1992年間に穿刺吸引細胞診を施行し, 病理組織診断が判明した結節性甲状腺腫1,540例 (甲状腺癌580例, 良性腫瘍943例, 橋本病17例) を対象とした.穿刺吸引細胞診の診断能は, sensitivity 85%, specificity 93%, accuracy 90%であった.甲状腺癌では乳頭癌の正診率が90%と高く, 濾胞癌で60%と不良であった.1.0cm以下以下の微小癌にも高い正診率 (89%) が得られた.良性腫瘍の正診率は高いが, 橋本病で偽陽性が多くみられた.甲状腺癌の各種診断法の正診率を比較すると, 穿刺吸引細胞診は触診法や超音波検査に比べ良好な成績であった.以上, 穿刺吸引細胞診は甲状腺結節の良悪性診断のみならず, 組織型の推定, 微小癌の診断に有用かつ信頼度が高く, 初診時の必須検査法とすべきである.