著者
丸山 敦夫 晴永 清道 竹下 公博 MARUYAMA Atsuo HARUNAGA Kiyomichi TAKESHITA Kimihiro
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 (ISSN:09175865)
巻号頁・発行日
pp.87-95, 2007

離島複式学級における体育授業の特徴を理解する基礎資料を得るため、複式学級の3・4年生の児童を対象に、体格・体力を測定すると共に各児童の体育授業の運動量を把握した。さらに、1年後、4・5年生になった同じ児童を対象に体格・体力や体育授業の運動量を縦断的に追跡し測定し、加えて、教師に体育授業の課題を調査した。その結果は以下の通りである。 1)複式学級の児童の形態発育は、身長の伸びに対して筋肉や骨などの除脂肪体重の充実度が4-5年生より3-4年生で低い傾向であり、個人差が非常に大きかった。 2)離島の複式学級および一般学級の児童たちの有酸素能力は同年代の児童に比べて高かった。しかし、複式学級では3-4年生の有酸素能力の伸びはほとんどなかった。この学年では体格と筋力や持久力との不均衡が体力低下につながったと思われる。これは個人的な発育と体力の関係であろう。 3)5日間の学校生活活動量を心拍数で測定した結果、体育の授業や昼休み時間において心拍数は平均で130拍/分ほどになった。06年度の中程度および比較的高い運動強度別出現時間や割合が05年と比較して少なくなった。運動量低下は教材選択に依存するだろう。 4)体育授業の課題をアンケート調査した結果、学年差や体力差で児童の序列ができあがり、少人数であるため競争心の発揚や発育差による指導の視点について課題が多かった。 以上の結果から、複式学級での体格・体力の実態と学校生活活動量や体育授業の運動量を把握し、今後の複式学級における体育授業の展開に工夫していかなければいけない内容を探ることができた。