著者
山田 恵理 田中 伸明 玉城 政和 YAMADA Eri TANAKA Nobuaki TAMASHIRO Masakazu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.395-402, 2018-01-04

これまでの統計教育は、生徒が統計的な知識を学んだ後、技能を身につけるために、データを含んだ課題の分析処理を行わせるものが主流であった。しかし今日、統計教育はより実践的な枠組みへと変革しつつある。すなわち、生徒が自らの身近な問題の解決を目指し、「計画立案、データ収集、分析、実践、総括」という段階を踏む中で、統計的な知識や技能を涵養する実践が注目を浴びているのである。このような統計教育では、その問題解決の中で、しばしばPDCAあるいはPPDACといった「改善サイクル」を周回させる手法が用いられる。しかし、例えば「学校の環境」等の大きな問題解決を扱い、「改善サイクル」を機能させるならば、どうしても、数学の枠組みを超えたものになってしまう。すなわち、「総合的な学習の時間」等との関連を図るなど、かなり「大掛かりなもの」にならざるを得ないのである。本研究は、あくまでも、数学Iの「データの分析」という1単元のなかで、統計的な知識や技能を学び、それを「改善サイクル」に活用することを試みたものである。かなりコンパクトな状況で、「改善サイクル」を3周回機能させるとともに、生徒自らが平均と分散が改善していく過程を見出していくことで、「改善サイクル」が機能したことを評価させ、「改善サイクル」の必要性や良さも実感させた実践例である。