著者
伊藤 美咲 栗田 季佳 ITO Misaki KURITA Tokika
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.61-67, 2017-03-31

障害児のきょうだいは、健常児の兄弟を持つ子どもにはない特有の悩みを持つことが指摘されている。しかし、国内において、障害児・者のきょうだいであることによる体験や影響に関する研究は少ない。また、きょうだいに関する研究の中でも、健常児の兄弟と障害児のきょうだいを比較している研究はほとんど見当たらない。そこで本研究では、障害児と健常児の兄弟にインタビューを行い、障害児のきょうだいである特有の実態を検討した。インタビューの結果、同胞のことを友達へ話すことへのためらいや、将来に及ぼすきょうだいの影響等が特有の実態として挙がってきた。また、健常児の障害児・きょうだいに対する見方は、「積極的拒絶」「消極的拒絶」「対等」の3種類に分けられた。今後の課題として、環境の大切さ・教育現場での支援の重要性が示唆された。
著者
富田 昌平 TOMITA Shohei
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.129-136, 2017-03-31

本研究では、幼児期における恐怖対象の発達的変化について検討した。研究1では、保育園年中児29名、年長児26名を対象に、恐怖対象の有無やその内容と理由、5つの一般的な恐怖対象(お化け、動物・虫、暗闇、幽霊、注射)に対する感情評価について尋ねた。その結果、子どもの恐怖対象の数は加齢に伴い減少すること、女児は男児よりも恐怖対象を持つ傾向にあることが示された。研究2では、幼稚園児の保護者66名を対象に、子どもの恐怖傾向とその強さ、恐怖対象の内容と発達的変化について尋ねた。その結果、恐怖対象の発達差や性差に関して、研究1の結果が概ね繰り返された。また、内容的には年齢や男女問わず、お化け、動物・虫、幽霊、暗闇、1人でいることなどが多く挙げられ、加齢に伴い想像的なものに対する恐怖が増加することが示唆された。考察では、幼児期における恐怖対象とその発達的変化を踏まえた上で、「怖い」を楽しむ実践を育児や保育においてどのように位置づけ、展開していくかが議論された。【キーワード】恐怖対象、想像、幼児
著者
伊藤 信成 越村 真帆 萩原 拓也 加藤 明音 ITOH Nobunari KOSHIMURA Maho HAGIHARA Takuya KATO Akane
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.31-37, 2018-01-04

人工光により夜空が明るくなる現象は光害と呼ばれ、公害の1つと認定されている。光害の把握は生活環境改善の為に欠かせない。近年、照明機器としてLED の普及が進んでおり、夜空の明るさとともに夜空の色の変化が懸念され、その評価が求められている。夜空の色を評価する取り組みは僅少であり、本研究ではデジタル一眼カメラを用いて、夜空の明るさと色を評価した。主たる評価地点は熊野市近郊とした。その結果、夜空の色を統一的に評価するためには、カメラの色特性を補正する必要があること、熊野近郊の夜空の明るさは天体観測の好適地との比較から良好な環境であること、夜空が明るくなると夜空の色が青くなる傾向があることがわかった。またデジタルカメラ画像から夜空の色を求める手法の確立と測定精度評価ができたと考える。
著者
南 学 MINAMI Manabu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.221-227, 2018-01-04

本研究では、現代の若者がもつ幸福観と価値観との関連から現代の「幸せな若者」像(古市,2013)について明らかにすることを目的として検討を行った。結果は、幸福観によって若者を3 群に分けたところ、「現状満足群」のほうが従来の友人関係を維持することを求めることが示されたが、地元志向に関しては有意な差は見られなかった。また「現状満足群」よりもすべてのことを追求する若者像である「全追求群」のほうが、「主観的幸福感」が高く、友人関係においても「表面的友人関係」、「内面的友人関係」に関しては「全追求群」のほうが高かったことが見出された。これらの結果から、古市(2011;2013)が指摘する「幸せな若者」像はすべての若者にあてはまるものではないこと、その「幸せな若者」群の幸福感がとくに高いわけではないことが見出され、古市(2011;2013)が提唱した若者の価値観の傾向と幸福感を結びつけた「幸せな若者」論は実証性に欠けることがあらためて示唆された。
著者
須永 進 青木 知史 堀田 典生 SUNAGA Susumu AOKI Satoshi HOTTA Norio
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.137-142, 2017-03-31

基本的生活習慣と社会性の関係では、A群(基本的生活習慣が獲得されている子ども)がそうでないB群の子どもより、社会性の発達の面で各項目ともに上回っていることが、今回のクロス集計で明らかになった。また、精神面における項目においても同様の傾向がみられるなど、子どもの成育と健康度という視点から、幼児期の子どもにとって基本的生活習慣の獲得が不可欠な要因であることが、改めて確認されたといえる。キーワード:子どもの基本的生活習慣、社会性の発達
著者
山田 恵理 田中 伸明 玉城 政和 YAMADA Eri TANAKA Nobuaki TAMASHIRO Masakazu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.395-402, 2018-01-04

これまでの統計教育は、生徒が統計的な知識を学んだ後、技能を身につけるために、データを含んだ課題の分析処理を行わせるものが主流であった。しかし今日、統計教育はより実践的な枠組みへと変革しつつある。すなわち、生徒が自らの身近な問題の解決を目指し、「計画立案、データ収集、分析、実践、総括」という段階を踏む中で、統計的な知識や技能を涵養する実践が注目を浴びているのである。このような統計教育では、その問題解決の中で、しばしばPDCAあるいはPPDACといった「改善サイクル」を周回させる手法が用いられる。しかし、例えば「学校の環境」等の大きな問題解決を扱い、「改善サイクル」を機能させるならば、どうしても、数学の枠組みを超えたものになってしまう。すなわち、「総合的な学習の時間」等との関連を図るなど、かなり「大掛かりなもの」にならざるを得ないのである。本研究は、あくまでも、数学Iの「データの分析」という1単元のなかで、統計的な知識や技能を学び、それを「改善サイクル」に活用することを試みたものである。かなりコンパクトな状況で、「改善サイクル」を3周回機能させるとともに、生徒自らが平均と分散が改善していく過程を見出していくことで、「改善サイクル」が機能したことを評価させ、「改善サイクル」の必要性や良さも実感させた実践例である。
著者
磯部 由香 田中 里奈 平島 円 ISOBE Yuka TANAKA Rina HIRASHIMA Madoka
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.143-148, 2017-03-31

学校現場で行われている食育に関する様々な取り組みの中で、毎日繰り返し行われる「給食の時間」での指導は、極めて重要な役割を担っている。そこで、学校現場での給食指導の実態の把握を目的に調査を行った。その結果、給食指導における一番の課題は偏食に関する指導であることが明らかになった。偏食の課題は多様なため、指導方法の一般化が困難であり、給食指導マニュアルへの記載もほとんどなかった。アンケート調査および文献から偏食指導の事例を収集したところ、その手法は様々であった。今後は、教員個人の経験や能力に左右されず、すべての教員が効果的な偏食指導を行うため、様々な事例の蓄積とデータの共有が重要になると考えられる。
著者
林 朝子 HAYASHI Asako
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.383-393, 2017-03-31

現在、書道・毛筆文化への再評価が進んでいるが、書を鑑賞することは一般的に十分な理解を得られているとは言い難い。そこで『書論・鑑賞I』履修生9名を対象に、書の構成要素の理解の徹底と実際の書作品を多く見ることで、書の鑑賞への意識の高まりと鑑賞内容の深まりを目指した。その結果、自身の鑑賞の視点が明確化され、直観的鑑賞に留まらない、具体的な視点からの分析的鑑賞を様々な書に対して行う姿勢へと結びついたことが示された。キーワード:書の鑑賞、造形性、書の構成要素、分析的鑑賞
著者
秋元 ひろと AKIMOTO Hiroto
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.65-89, 2018-01-04

In this paper, I look into the scholastic background of Descartes's physics, and try to make it clear where his theory of causation stands when viewed in relation to the tradition of the scholastic theory of causation. In section 1, I give an outline of the scholastic theory of causation based on Disputationes Metaphysicae (1597), written by Francisco Suarez (1548-1617), a leading figure of the early modern Spanish scholasticism. In the middle ages, there were three rival views on the relationship between God and created things as efficient causes. They are occasionalism held by Islamic theologians, and concurrentism and conservationism held by scholastic Aristotelians. Occasionalism denies created thigs efficient causation and admits God as the only true cause. By contrast, both concurrentism and conservationism allow causation not only to God but also to created things. Conservationism differs from concurrentism in that the former does not hold, as the latter does, that God concurs with created things when they operate as efficient causes, and restricts the actions of God as an efficient cause to the creation of things and the conservation of the things created. In section 2, I give a brief account of Descartes's physics based mainly on Principia Philosophiae (1644), and take up the issue whether his theory of causation is to be interpreted as occasionalism, concurrentism, or conservationism. Scholastic Aristotelians made a distinction between God, which is the primary, universal cause, and created things, which are particular, secondary causes. Descartes also holds that God is the universal, primary cause. But it is the laws of nature and not created things that he regards as particular, secondary causes. Paying attention to this characterization of laws as particular, secondary causes, and its position between God and created things, I argue that Descartes, though retaining an element of cocurrentism or conservationism, advances toward occasionalism, which is going to be held by his followers such as Nicolas Malebranche.
著者
林 朝子 HAYASHI Asako
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.91-96, 2018-01-04

本稿では、ドイツの非漢字圏日本語学習者を対象に収集したデータを分析し、考察を行った結果を報告する。日本語の漢字仮名交じり文において多くの割合を占める平仮名であるが、日本語教育での指導は入門期の短期間に留まっており、その後の字形の乱れが大きい文字である。今回は学習者19 名のアンケート内容と平仮名データを概形と筆脈に焦点を当て、学習者書字の実態と課題について明らかにする。
著者
富田 昌平 近藤 彩乃 TOMITA Shohei KONDO Ayano
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.235-244, 2018-01-04

本研究では、魔術的結果の実現可能性が示唆されるような状況下における、幼児の想像と現実との揺らぎについて検討した。具体的には、従来行われてきた空箱課題(Harris, Brown, Marriott, Whittall, & Harmer, 1991)、または、恐竜の卵課題を幼児(4-5 歳児26 名)に実施し、想像した事柄(箱の中に想像した赤ちゃん恐竜/恐竜の卵)に対する幼児の現実性判断を言語面と行動面から探った。実験の結果、事前の段階では大部分の幼児が恐竜について何らかの知識を持ち、それを少なくとも身近な場所にはいないものとして位置づけていたにもかかわらず、恐竜誕生という魔術的結果の実現可能性を示唆するような状況に置かれると、少なからぬ幼児が信じない方向から信じる方向へと自らの立場を変化させた。そのことは空箱条件よりも恐竜の卵条件において顕著であった。恐竜の卵条件では7割以上の幼児が「本物」と判断し、部屋に1人で残されると半数の幼児が複数の実践のバリエーションで魔術的結果の実現を試みた。これらの結果は、物語と実在物との結び付き及び想像を支える実在物という2つの観点から考察された。
著者
澤口 真理 瀬戸 美奈子 SAWAGUCHI Mari SETO Minako
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.475-481, 2018-01-04

学校現場ではいじめや生徒の自死、自傷他傷といった暴力行為など課題が山積する。早急な取り組みが求められており、その一つとして心理教育が一定の効果を上げている。本研究では高校生を対象とした心理教育について、「国語総合」授業の枠組みの中でデザインした上で実践し、その効果を検証することを目的とする。授業のデザインは認知行動療法をベースとし、スケーリングを手法として用いた。二次元レジリエンス尺度(平野,2010)を用いて授業の前後に質問紙調査を行った。216 名を授業前のレジリエンス要因得点高群71 名、中群74 名、低群71 名の3 群に分けて、レジリエンス得点を従属変数、時期と群を独立変数とする二要因の分散分析を行った。その結果、群の主効果に有意差が見られた(F(2,213)=220.277,P<.001)。交互作用に有意差は見られなかった。t 検定による分析の結果、低群において授業実施の前後のレジリエンス得点に有意差が見られた。レジリエンスが低い生徒に対して本授業が有効であった可能性が示唆された。
著者
佐藤 年明 SATOU Toshiaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.319-335, 2018-01-04

筆者は中部教育学会第66 回大会(2017.6.17 福井医療大学)において、自由研究発表「性教育において『快楽追求としての性行動』を教えることは必要/可能なのか?」を行ない、またその続報として日本教育方法学会第53 回大会(2017.10.7 千葉大学)において、自由研究「性教育において『快楽追求』を取り上げることの意義と課題の検討-ニュージーランドの研究者 Louisa Allen との研究交流を通じて-」を行なった。本稿は上記両報告を再構成したものである。これら一連の研究は日本学術振興会科学研究費補助金交付基盤研究(C)「性教育におけるコミュニケーションのルールとモラルに関する国際比較研究」(2014-2017 年度 課題番号26381263)の一部を構成するものである。
著者
髙田 明裕 TAKATA Akihiro
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.337-339, 2018-01-04

2006(平成18)年の国際連合総会における「障害者の権利に関する条約」の採択を受け、我が国では2007(平成19)年9 月にこの条約に署名した後、様々な国内法の整備を経て2013(平成25)年12 月に批准を行った。署名から批准までの6 年間で整備された法令のうち、2013(平成25)年に立法化された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」と表記)は、2016(平成28)年4月からの施行となったが、このことにより、教育分野においてインクルーシブ教育システムの構築に向けての大きな動きが見られた。本稿では、障がいのある児童生徒に視点をあて、教育の場の整理と就学の状況、及びインクルーシブ教育システムの構築に向けた環境整備のあり方について考察する。
著者
田邉 正明 TANABE Masaaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.495-503, 2018-01-04

学校では「おや?」とか「何か、気になるなあ。」という子どもの姿に出会う。多くは、話を聞く等の対応だけで解決できる程度の一過性のものが多いが、中には、その頻度が高く、心配になる児童がいる。これらの言動等は、本人も嫌で何とかしたいと考えていることが多い上、周囲の仲間とのトラブルになることもある。早い対応が必要である。教育関係者は、この言動や様子を「困り感」と表現し、特別支援教育の枠を拡大して、通常教育の場での適切な支援を模索している。本実践事例がその一助になれば幸いである。
著者
天野 智裕 AMANO Toshihiro
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.445-451, 2018-01-04

本研究では、若手教員の指導力等の育成における、ユニバーサルデザインの視点からのアプローチの有効性について、小学校の若手教員への指導力向上に関するアクションリサーチや若手教員及び管理職からの聴き取り調査をもとに検討を行った。その結果、若手教員育成におけるユニバーサルデザインの視点からのアプローチは、(1)具体性、(2)効率性、(3)共有性の3点において有効性が認められた。
著者
濱田 匠 菊池 紀彦 HAMADA Takumi KIKUCHI Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.429-434, 2018-01-04

本報告では、事物を見て楽しむ活動に興味関心が高いものの、事物を操作する活動が限局している重症児(以下、「A 児」とする)を対象に、さまざまな事物操作の獲得を目的に作業療法(以下、「OT」とする)を実施した。OT では、A 児の事物を操作する活動に関する作業遂行能力の評価を行った上で、探索活動が可能となる課題を設定し指導を行った。その結果、A 児の事物を操作する活動が拡大した。重症児が事物を操作する活動を獲得するためには、手の機能の評価を基にしてできる動作と困難な動作を把握した上で、彼らが能動的な探索活動が経験できる環境を設定し指導を行うことが重要であると考えられた。
著者
丹羽 克文 郷右近 歩 NIWA Katsufumi GOUKON Ayumu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.129-132, 2018-01-04

近年、特別支援学校においては、スケジュール表を用いた指導が多く行われている。本稿では、国内の教育現場において導入が進められた背景について検討を行った。先行研究を分類した結果、スケジュール表を用いる目的には「子どもの安心・安定を目的として用いる場合」と「自発的な行動を促すために用いる場合」があること、そして、スケジュール表の形式には「活動の手順を示すもの」と「生活の時間の流れを示すもの」があることが明らかとなった。従来、スケジュール表を用いた指導の有用性や効果は多く報告されてきたものの、いくつかの課題も浮かび上がってきた。すなわち、事前にスケジュールを伝えることでかえって不安になる場合や、順序や時間という概念を一様ではない形式で表現している場合である。今後は、上記の課題を解消するために、教育実践を通したさらなる検討が必要であることが示唆された。
著者
笹屋 孝允 SASAYA Takayoshi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.251-257, 2018-01-04

本研究の目的は、小学校の複式学級における「渡り」の指導時における、教師による児童の学習活動のモニタリングに着目し、複式学級における渡りの指導形態のあり方を検討することである。多様なパターンの渡りの指導形態を、教室内の座席配置から「L字型」、「横並び型」、「背面型」の3種類に分類し、それぞれの座席配置における教師と間接指導の状況にある児童との距離、教師の視線の向きの特徴を比較しながら分析した。その結果、(1)L字型、横並び型は教師と間接指導の状況にある児童との距離が近く、直接指導と間接指導の転換時に教師の移動距離が小さくなる特徴があること、(2)背面型は教師の視線の向く先に直接指導の状況にある児童と間接指導の状況にある児童の両方が位置づく点に特徴があること、(3)背面型は、直接指導の状況にある児童とは音声的情報によってやり取りをしながら、目線を間接指導の状況にある児童に向けて視覚的情報により間接指導の状況にある児童の活動をモニタリングして、直接指導と間接指導の転換のタイミングをはかることが可能であること、の3点が明らかとなった。間接指導の状況にある児童の活動をモニタリングするには、音声的情報と視覚的情報を使い分けながら直接指導と間接指導を並行することが渡りの指導の特徴であるとの実践的示唆を得た。