著者
渡辺 和雄 TERESHINA E. A. TERESHINA Evgeniya
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1)Y_2Fe_<17-x>Ru_x(x=0, 0.25, 0.5, 0.75)粉末試料について、零磁場及び5T、温度10~300KでX線回折実験を行い、広い温度範囲での格子定数のInver的異常を明らかにした。またY_2Fe_<16.5>Ru_<0.5>が示す反強磁性-強磁性メタ転移はa及びc軸方向に~0.6%の磁歪を誘起し、結果として~1.8%の体積変化を生じることがわかった。X線回折実験の結果は、チェコ共和国科学アカデミーで行われた熱膨張測定の結果と一致した。2)複合化合物(Lu_<0.8>Ce_<0.2>)Fe_<17>-Hに関する実験から、反強磁性体である母体化合物(Lu_<0.8>Ce_<0.2>)Fe_<17>が水素化されると強磁性相互作用が優勢となり、反強磁性秩序の抑制が生じることが分かった。この成果を国際会議"2^<nd> International Symposium on Advanced Magnetic Materials and Applications"(ISAMMA 2010)において発表した。成果論文はJ. Phys. : Condens. Matterに投稿中である。3)水素充填化合物Tb_2Fe_<17>H_3及びHo_2Fe_<17>H_3の単結晶に関する18Tまでの磁化測定を行い、水素化物で一般にみられる自発磁化とCurrie温度の上昇のほかに、磁気異方性が容易面型から容易軸型に変化する珍しい振る舞いをTb_2Fe_<17>H_3が示すことを明らかにした。これは、容易軸型異方性及び高い飽和磁化と秩序温度を併せ持つことが要求される永久磁石材料に応用するにあたって極めて効果的である。