著者
石井 康太 和田 健太 高張 創太 横濱 道成 Kouta Ishii Wada Kenta Takahari Souta Yokohama Michinari
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.39-44,

北海道の然別湖に生息するミヤベイワナはオショロコマの亜種とみなされている。そのミヤベイワナとオショロコマの分化レベルを明確にするために,ミヤベイワナ,然別湖に近い十勝川水系のオショロコマ集団およびその他の河川のオショロコマ集団の3集団に分けて,タンパク質多型およびアイソザイム変異を用いて遺伝的差異および遺伝的分化を検索した。検索した11種類の遺伝子座のうち,然別湖集団(ミヤベイワナ)にHb-II遺伝子座位およびMDH遺伝子座位においてそれぞれSバンドおよびa′バンドが検出された。これらはオショロコマには検出されない新たなる変異であった。したがって,ミヤベイワナとオショロコマとの間を明確に区別できる遺伝子座位が新たに2座位明らかとなった。また,11種類の遺伝子座の対立遺伝子頻度から集団間の遺伝距離を求め系統樹を作成した結果,十勝川水系の河川の集団(オショロコマ)とその他の地域の河川の集団(オショロコマ)がD=0.017ではじめに結びつき,次にこれらの2集団と然別湖集団がD=0.161で結びついた。したがって,ミヤベイワナはオショロコマと亜種として明確に位置づけられた。
著者
石井 康太 和田 健太 高張 創太 横濱 道成 Kouta Ishii Wada Kenta Takahari Souta Yokohama Michinari
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.39-44,

北海道の然別湖に生息するミヤベイワナはオショロコマの亜種とみなされている。そのミヤベイワナとオショロコマの分化レベルを明確にするために,ミヤベイワナ,然別湖に近い十勝川水系のオショロコマ集団およびその他の河川のオショロコマ集団の3集団に分けて,タンパク質多型およびアイソザイム変異を用いて遺伝的差異および遺伝的分化を検索した。検索した11種類の遺伝子座のうち,然別湖集団(ミヤベイワナ)にHb-II遺伝子座位およびMDH遺伝子座位においてそれぞれSバンドおよびa′バンドが検出された。これらはオショロコマには検出されない新たなる変異であった。したがって,ミヤベイワナとオショロコマとの間を明確に区別できる遺伝子座位が新たに2座位明らかとなった。また,11種類の遺伝子座の対立遺伝子頻度から集団間の遺伝距離を求め系統樹を作成した結果,十勝川水系の河川の集団(オショロコマ)とその他の地域の河川の集団(オショロコマ)がD=0.017ではじめに結びつき,次にこれらの2集団と然別湖集団がD=0.161で結びついた。したがって,ミヤベイワナはオショロコマと亜種として明確に位置づけられた。It is generally considered that Salvelinus malma miyabei which inhabits Sikaribetsu Lake in Hokkaido is a subspecies of S. m. malma. To clarify the differentiation level between Salvelinus m. miyabei and S. m. malma, we investigated genetic differences and genetic differentiation using protein polymorphism and isozyme mutation among 3 groups (S. m. miyabei population, S. m. malma of the Tokachi River water system population which is close to Shikaribetsu Lake and S. m. malma of other region populations). Of 11 loci examined, the S band and a' band were detected in the Hb-II locus and MDH locus respectively for the Shikaribetsu Lake population, these bands are new varieties that were not previously detected in S. m. malma. Therefore, two newly identified loci that could distinguish S. m. miyabei and S. m. malma clearly are reported. As a result of constructing a dendrogram using genetic distances (D) calculated from the allele frequency of 11 kind loci, the Tokachi River water system population (S. m. malma) and the other region populations (S. m. malma) were connected first in D=0.017, secondly these 2 populations and Shikaribetsu Lake population were connected in D=0.161. Therefore, S. m. miyabei was clearly classified as a subspecies of S. m. malma.